先日公開されたEpicのMeta Human の先行公開版を触ってみた感想をまとめてみる。
MetaHuman Creatorは先日EpicGamesより発表されたキャラクター作成ツールで、”フォトリアルなデジタルヒューマン”を作成することができるという。UnrealEngineなどで使用しているEpicのアカウントを用いて、先行アクセスができるということだったので、さっそく使用してみた。
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この先行版では1セッション1時間という制限時間があるようだったが、連続して起動できるのが1時間というだけで少し間を置けば、またキャラクターの作成を再開できる模様。今回はとりあえず1時間だけ触ってみた。
まず驚いたのがブラウザベースで動くという点。よくリリースを読めばクラウドベースでとしっかり書いてあるので、当たり前なのであるがUE4やDCCで扱うような3Dデータがブラウザで編集できてしまうのには驚いた。技術は進歩しているものである。
キャラクター制作の流れは、まずプリセットとして十数人くらいの顔が用意されているので、そこから一人選び、この顔を基準にブレンド、パーツ位置の調整、微調整と進み顔の構造を決定していくというもの。また目や髪型、ひげなど顔のパーツはカスタムキャストなどのような選択式となっている。

大まかな顔の構造を決めるのがブレンドなどの部分で、まずこのブレンドの機能が面白い。これは基準となる顔のほかにさらに3人の顔を選択し、鼻や口などに表示されている部分を混ぜ合わせるというもの。これによって口は上の人に、目元は右の人に似せたいといったことができる仕組みである。
ただ少なくなくとも現時点では部位ごとに割合を変えることはできても、ブレンド元の顔を変えることはできず、口はAとBとCから、耳はBとEとFからといったような調整をすることはできない。ここは部位ごとに変更できるようになると自由度が広がると思った。
ブレンドで作った顔をベースにパーツ位置調整、スカルプトといった機能でさらに整えていく。パーツ位置調整は人間の顔があまりにも破綻するような変更はできず、元の基準位置を中心とした園内で調整するような感じ。スカルプトはパーツごとにさらに細かく分かれた制御点の位置を調整していく感じ。ただスカルプトのほうは動かし方によっては微妙な造形になってしまうこともあり、すこし技量が出そうな点だと思った。


選択式のパーツに関しては服装が上下3着ずつしかなかったり、体型がプリセットのみで各値が変更できなかったりと、まだ準備中と思われる部分がみられた。髪型もやや少なめで長さなどは現状調整できない模様。肌の色や髪の色は現実にありそうな色域のものしか選択できず、例えば紫髪を作るといったことは現状できなそう。この辺りはどのようになっていくか注目である。
一方で、そばかすやヒゲ、歯といったところは謎の充実具合である。特に歯はアニメ系キャラではそこまで意識しない部分ではあるが、このMetaHumanでは歯並びから歯の形、歯垢の調整までできるという充実ぶりである。確かに目立たないけれども個人差が大きい部分として、リアルさを追求するうえで重要なこだわりなのだろうなと思った。

また作ったキャラクター用にいくつかのモーションがプレビューできるのだが、このモーションもあまり破綻なくみられる。しいて言うなら日本にいるとこんなに表情を豊かに顔に出す人はなかなかいないというところ。このあたりはある意味デジタルを感じさせる部分かもしれない。


今回は1時間で男性一人と女性一人を制作することができた。現状の機能では誰かに似せるといった作業にはなかなかコツを身に着ける必要がありそうだが、「どこかにいそうな人」や「こんな感じの人」というような漠然としたイメージでキャラクターを作るのはかなり早そうである。
アニメ系と違ってフォトリアル系は不気味の谷の違和感に気づきやすいと思われるが、これは手軽にサクッと違和感を感じにくいキャラクターが作れるので、大量のキャラが必要なモブづくりなどにも向いてそうだなという感想。
「メタ」ヒューマンというだけあって、どうやっても人間から離れることのできないというか、2次元系のキャラクタとは違う何かがあるなとは思いつつも、Unreal Engineで扱うフォトリアル系キャラクターを作るうえでは、非常に面白いツールだと思いました。
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